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卯の花

卯の花1枚目

東京は夏日です。
教育唱歌『夏は来ぬ』(佐佐木信綱作詞、小山作之助作曲)に
「卯の花の匂う垣根に、時鳥早も来鳴きて」
とあります、まさにそのシーズンですね。

今日ご紹介する重色目は、「卯の花重ね」です。
表が白、裏が青(グリーン)の清冽な組み合わせで、初夏の雰囲気がよく表れている重色目だと思います。白に透ける青が、なんとも清々しい。
卯の花は「ウツギ」という樹木の花で、濃い緑の葉に白い清楚な花をつけます。茎が中空なので「空木うつぎ」であるとか、卯月(5月)に咲くから「卯つ木」とか、語源説は様々です。

職場の近所を散歩していましたら、あるお屋敷の庭にニシキウツギが咲いているのを見つけました。
本来のウツギはアジサイ科に属する植物で、ニシキウツギはスイカズラ科。まったく異なる植物なのですが、葉の具合などが似ていることから「ウツギ」の仲間扱いされています。
こういうことはよくあることで、5月5日にお風呂に入れる菖蒲はサトイモ科、花が咲くハナショウブはアヤメ科なのですが、葉の形が似ていることから、平安時代も一緒くたにされていました。

ニシキウツギは「錦」ではなく「二色」ウツギで、白い花が途中から赤く変化する美しい花が特徴。白い花赤い花入り交じって、それは華やかです。

(有職故実研究家 八條忠基さん Facebook投稿より)