蔵人所は嵯峨天皇の弘仁年代に置かれた宮中校書殿の殿内の書籍を校合する職務である令外の官であったが、次第に機密の文書や訴訟のことを掌って常に宮中に於いて御側の用を勤め、詔勅を伝宣する事からやがて禁中の有力な官職となった。長は別当で左大臣が多く任ぜられ、その下に頭があり、四位の殿上人が二人、次が五位の蔵人三人、六位の蔵人は四人或いは五人、六位の蔵人は宮中側近の雑務を勤める。この下に非蔵人、雑色がある。
蔵人は六位でも昇殿を許され、常に天皇の側近にあるので、六位の蔵人で極﨟といわれる、第一の序列のものにも、天皇が平常に召される麴塵の御袍を特に下賜されることがあった。
麴塵という色目はこうじかびの色で、中国では麦こうじであるので黄褐色をおびた黄櫨染に似た色であり太陽の色とされ、天子の用とされていた。日本では麦こうじが米こうじとなり、うす緑色と思われ、黄色或いは青白橡、山鳩色などと呼ばれた。文様は桐竹鳳凰もあり、唐花尾長鳥などもあった。
これは唐花尾長鳥文の麴塵の冬袍をつけた六位の極﨟の蔵人の衣冠姿である。
蔵人麴塵袍の冬の衣冠
Courtier of the side of Emperor in regular court dress ikan the dress’s color is green, and the green is called kikujin, this is permitted from Emperor.