インドで成立した袈裟に、さらにその下につける法衣として中国において形成された褊衫(偏衫)がある。これは左肩を覆う僧支(掩腋衣)に右肩に覆肩衣が合一して、襟や袖がつけられたものといわれている。日本では、仏教伝来当初より用いられたようだが、色は壊色、背は襟下で割れ左前に着ける。これはその成立当時の原形を留めていて、現在に残る日本の服装として左衽のものはこれだけである。
下半身には同色の裙をつけるのが通常で、袈裟は同じく壊色(ここでは木蘭色)の如法衣、これは中国伝来後吊り紐が附加されているが、この服装がインド古制に近いものと考えられていた。「律」及びこれを含む宗派に用いられ、現在もほぼ同様の形状がうけつがれている。