日蔭ひかげの糸

日蔭の糸は大嘗祭や新嘗祭などの神事に冠などに結び垂らした緑色または白色の組糸で、植物の日蔭(ひかげの)(かずら)を意匠化したものです。古事記には(あま)(てらす)大御神(おおみかみ)(あめの)岩戸(いわと)隠れの際に(あめの)()()(めの)(みこと)(あまの)()久山(ぐやま)の日蔭鬘を襷にして舞い踊り、大御神の出現を願ったとあり、この故事により神事に用いられる植物とされました

白色の組糸は五節舞の舞姫等が(こころ)()と呼ばれる髪飾りと共に頭上より垂らし、緑色の組糸は風俗舞の舞人に使用されます。

風俗舞は国風歌舞の一つで、天皇が地方の有様を思うよすがとして好まれた歌舞で、特に一代一度の大嘗祭で用いられる風俗舞では神々に供する新穀を奉る国(()()国・主基(すき)国)の文物が読み込まれ、その都度新たに作成されました。大正度では愛知県と香川県、昭和度は滋賀県と福岡県、平成度は秋田県と大分県、令和度は栃木県と京都府が悠紀地方・主基地方に選ばれました

香川県の金毘羅宮(こんぴらぐう)や福岡県の宗像(むなかた)大社には当時作られた風俗舞が伝承され、今でも緑の組紐を冠から下げた舞人を見ることが出来ます。