日本服飾史日本服飾史

  1. HOME
  2. 衣裳一覧
  3. 奈良時代
  4. 伎楽呉女

伎楽呉女ぎがくごじょ

Gigaku court dance costume for “Woman of Wu.”

  • 伎楽呉女1枚目
  • 伎楽呉女2枚目

伎楽ぎがくは「呉楽」ともいい、古くはこれを「くれのうたまひ」と読んだ。百済の人、味摩みましが、推古天皇20年(612)に日本に伝えたとい われる楽器伴奏のある無言の仮面劇で、仏教音楽として法会ほうえ行道ぎょうどう等に用いられた。のちに雅楽に圧倒されて鎌倉時代には衰え、現在 は全く演じられていないが、その遺物は正倉院等に御物として残る。また諸寺の文献にもあって、奈良時代を偲ぶことが出来る。いまに残る民族芸能の獅子舞 は、伎楽の名残りともいえる。

劇中唯一の女性は呉女で、面及び背子からぎぬは正倉院御物による。他は次の時代の広隆寺、並に観世音寺資財帳の記事によって考証した。頭には黒紫の頂巾ちょうきんをつけ、地錦の背子、赤紫の襖と紫のあををかさね、纐纈の紕に白地の下をつける。下着には布の汗衫かざみ、緑の 、足には布の、漆塗りの鼻高沓、帯は赤の組紐、紗の領巾ひれ(比礼)を肩に、手には垂緒のついたを持っている。
腕には金装のくしろを飾るがここでは省略した。

イラストによる解説

イラスト1
  1. 呉女面
  2. 領巾ひれ(比礼)
  3. 背子からぎぬ裲襠りょうとう
  4. ほう大袖
  5. あを小袖
  6. そえも
  7. 垂緒たれおをつけた
  8. 頂巾ちょうきん
  9. 條帯くみのおび