女官朝服にょかんちょうふく Court lady in formal court dress. 12 平安初期の貴婦人の姿である。当時の女神像や吉祥天女像等によったもので、髪も一髻になっているが、後ろと顔の両側へ長く垂れてさらに引き上げられている。眉間と頰の花鈿かでん(花子かし)は、唐風そのままで袖なしの錦の背子からぎぬも養老の衣服令にはなかったもの。中央に垂れた二条の飾り紐は上衣の結び紐の余りを装飾化したものと考えられる。緂だんの裙も、縹はなだの褶したもを下半身につけ、紕帯そえおびをして領巾ひれ(比礼)をかけ、鼻高の舃くつをはいている。薬師寺の吉祥天女像等はさらに蔽膝へいしつという前掛けをしている。一層の礼装を表わすものである。 目次 イラストによる解説その他の平安時代の衣裳 イラストによる解説 一髻いっけい(結髪の状態をいう) 櫛くし 釵子さいし 花子かし又は花鈿かでん 背子からぎぬ 衣きぬ 衣の胸紐むなひもの端末たんまつ 紕帯そえおび 裙も 褶ひらみ(したも) 領巾ひれ(比礼) 舃せきのくつ(鼻高沓はなたかくつ)