束帯は養老の衣服令に示された朝服が変化したもので、平安時代中期、10世紀後半には成立したものと考えられる。これは中後期、11~12世紀頃の宮中の公卿の正装で、ここに示す袍の色の黒は四位以上の当色であるが、表袴が窠に霰の文様となっているので三位以上の公卿の姿である。公は摂政、関白、大臣をいい、卿は大中納言、三位以上及び四位の参議を含む高位の人をいう。また、五位の殿上人の袍の色は緋、地下の六、七位は緑(ただし実際の色は縹)である。
束帯は「昼装束」とも呼ばれた。これは衣冠が夜の装束、または宿(宿直)装束と呼ばれたことに対する言葉である。
冠や袍に変遷はあるが、その形状の変化は少なく、宮中における特殊儀式の服装として今日に及んでいる。
束帯を構成しているものは次の通り。
冠、袍、半臂(時には略する)、下襲、衵、単、表袴、大口、石帯、魚袋、笏、檜扇、帖紙、襪。屋外では、靴または浅沓をはく。なお、剣を帯する時は飾剣を平緒で佩びる。
公卿冬束帯
Courtier in formal court dress (sokutai) for winter.