即位の礼の時、正殿の儀における威儀の者の姿である。大正、昭和までは京都御所であったので、紫宸殿の儀と呼ばれた。平成においては東京の宮殿の正殿で行われたので、正殿の儀といわれた。威儀の者とは正殿の正面の階の両側において警備の任に当たる者で、近衛府の次将の役柄で、明治以前は当日だけの次将の役で、次将代と称されていた。明治42年公布の「登極令」によって左右各10人とされ、前列の5人は四位相当として黒袍、後列は五位相当として緋袍が用いられた。また、平成は正殿の儀だけであったが、大正、昭和においては当日紫宸殿の儀の前に賢所大前の儀が大嘗宮で行われ、その時もこれと同様の装束であった。ここに示すのは威儀の者の前列に就く四位相当の武官の姿である。特に使用されている挂甲は平安朝初期以来の形状を残すものといえる。
大正、昭和の時と比べると平成の御時では仕様がやや簡略化されているものもある。掲載のものは昭和の御時使用のものを主として現実に応じた解説とした。
即位の礼、正殿の儀における威儀の者の装束
Ceremonial dress for the high-ranking government official in the Grand Ceremony of Enthronement.