天皇が皇室祭儀の恒例臨時を通じて最も多く用いられる御装束で、色は黄櫨染。桐、竹、鳳凰、麒麟の文様がある。嵯峨天皇弘仁11年(820)2月に定められたもので、即位礼には孝明天皇の御代(1847〜1866)まで礼服として袞冕十二章の御服が用られていたが、明治天皇の時より黄櫨染の御袍を御即位礼に用いられることとなった。形式は御束帯縫腋御袍で、裏地は二藍平絹。
御冠の菊花繁文は大正5年11月3日、昭和天皇立太子の時より定められたもので、それ以前は繁菱文である。
天皇の御召しになる装束は現在この黄櫨染の御袍と、御神事の為の御祭服、帛御袍、御引直衣、御直衣、御小直衣の六種で、御祭服は大嘗祭の場合、悠紀、主基両殿の儀に用いられ、年中恒例の祭祀中では、新嘗祭の時のみ用いられる。帛の御袍は御即位礼の当日、賢所大前の儀および頓宮より廻立殿に渡御の時に用いられる。