即位礼の時皇后陛下が御帳台に昇られる時もこの形式の御盛装で、「おんいつつぎぬ、おんからぎぬ、おんも」と云う。その前に列立される皇族妃、後方に侍立する女官の服装もまた同様である。この場合は敬称の「お」「おん」はつけない。
服(白小袖)に長袴をつけ、その上に単、五つ衣、打衣、表着を重ね、唐衣、裳をつける。女儀の服色は総じて御好みもあり時々変化するので、必ずしも一様でない。これが俗に十二単といわれるもので、ここでは単にその形状の例を示した。
髪型は大すべらかしで、江戸後期以来の形式である。
皇后、皇族は唐衣、表着とも二陪織、色は白、赤、青色が最も重く、打衣にも菱紋などの文が用いられる。この形式の御装束は即位礼当日紫宸殿の儀、即位礼及び大嘗祭後神宮に親謁の儀にも御召しになる。
皇后の御服にはその他帛御服があり、これは大礼の時、即位礼当日賢所大前の儀及び大嘗祭に用いられる。
また、御五つ衣、御小袿、御長袴がある。これは最も多く用いられるもので、大礼の時、宮中三殿に期日奉告の儀、即位礼後一日賢所御神楽の儀、京都より還幸後に於ける賢所神楽の儀及び皇霊殿神殿に新謁の儀を始め、年中恒例の大祭、小祭を通じて用いられる。