日本服飾史日本服飾史

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  4. 公家女房、裙帯比礼の物具装束

公家女房くげにょうぼう裙帯比礼くんたいひれ物具装束もののぐしょうぞく

Court lady in ceremonial costume known as mononogu-shōzoku.

女房装束の晴れの姿といえば、いわゆる十二単で、これが最高の服装のように思われていることもあるが、さらに厳儀の時にはここに示したように裙帯くんたい領巾ひれ(比礼)をつけ、髪を垂らした後、結い上げ、宝冠をつけた奈良時代の礼服らいふくの形を残したものが用いられた。これを物具もののぐ装束という。
即ち、唐衣からぎぬ表着うわぎ打衣うちぎぬさぬうちぎともいう)、ひとえはりばかま(多くは紅の)、しとうず、の通常の晴れの装いに、裙帯そえおびをつけ、比礼をかける。裙帯は養老衣服令の紕帯の変化とも考えられ、引腰裙帯の転じたものとの説もある。紫式部日記に「内侍ふたりいづ、その日の髪あげうるはしきすがた、唐絵ををかしげにかきたるやうなり、左衛門の内侍御佩刀はかしとる、青色の無紋の唐衣すそご、領巾、裙帯浮線綾ふせんりょう櫨緂はぜだんに染めたり、表着は菊の五重、搔練かいねりは紅、すがたつき、もてなし、いささかはづれて見ゆるかたはらめ、はなやかにきよげなり」などとある。また年中行事絵巻の第五巻五段に見える妓女の奏舞は、この姿と思われるが、同絵巻では紅の長袴にかえ短となり、せきのくつ(はなだかぐつ)をはいているのは、より奈良時代の命婦の礼服に近いと思われる。
本図のは、紅の張とし、衵扇あこめおうぎを手にしている。

イラストによる解説

イラスト1
  1. 宝冠ほうかん
  2. 下に垂らし再度結い上げた髪
  3. 領巾ひれ(比礼)
  4. 唐衣からぎぬ
  5. 表着うわぎ
  6. 打衣うちぎ
  7. きぬうちき(数枚を重ねている)
  8. ひとえ
  9. 裙帯くたい
  10. 衵扇あこめおうぎ
  11. はりはかま