能楽・羽衣のシテ(天人) Costume for the main role, Tennin (celestial being) of the Nō play “Hagoromo.” 12 「能」は平安時代の延年、曲舞、猿楽、田楽を基盤として室町時代初期に成立したもので、観阿弥、世阿弥父子によって大成し、足利義満によって愛好、保護された。其の後、秀吉、家康とこれを保護し、江戸幕府の式楽と定められ、今日も多くの人々によって護りつづけられている。 これはその曲目の一つである羽衣の舞姿で、世界の各地にある白鳥処女説話と同系といえるが、世阿弥の作ともいわれている。 シテ(主役)の天人は小面こおもて等をつけ、長鬘、胴箔紅入鬘帯かつらおびをしめ天冠を戴く。着附は箔の小袖、紅入縫箔の小袖を腰巻にし、腰帯をつけ、羽衣になぞらえた文様の長絹をうちかけ、鬘扇(中啓)を手にしている。 目次 イラストによる解説その他の室町時代の衣裳 イラストによる解説 天冠てんかん 鬘帯かつらおび 面おもて 天冠の紐ひも 長絹ちょうけん 長絹の胸紐むなひも 長絹の小露こつゆ 長絹の袖露そでつゆ 腰巻こしまき[打掛の上半身を脱いで腰にまとった状態] 着附きつけ 鬘扇かつらおうぎ[中啓]